カワチ薬品の概要

カワチ薬品は栃木県小山市に本社を置く、北関東を中心に展開するドラッグストアチェーンです。1960年に栃木県栃木市で創業され、1980年に株式会社カワチ薬品に改組されました。
北関東エリアでは圧倒的なシェアを持ち、「ファーマシー・モア」という企業理念のもと、医薬品だけでなく健康に関わる多様な商品提供を通じて顧客の健康で快適な生活実現を目指しています。
カワチ薬品の大きな特徴は、その店舗規模にあります。
平均売場面積は約600坪と、ドラッグストア業界平均(約240坪)の2.5倍もの広さを誇る「メガ・ドラッグストア」を展開しています。
この広い売場面積を活かし、食品部門が売上構成比の約48.6%を占めるという、他社と比較して圧倒的に高い割合を持っています。
2023年度の連結売上高は2,860億円で、ドラッグストア業界内では9位にランクインしています。店舗網は栃木県、茨城県、群馬県をはじめ、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、福島県、青森県、宮城県など17都県に364店舗(うち調剤併設型144店)を展開しています。
ストアコンセプト
カワチ薬品は以下の3つのストアコンセプトを掲げています:
- ショートタイムショッピング:道路沿いに立地し、コンビニのように立ち寄りやすい
- ワンストップショッピング:生鮮食品以外が一度の買い物で揃う豊富な品揃え
- エブリデイロープライス:いつでも納得の価格で購入できる「安心」かつ「高品質」な商品提供
特に郊外の車社会においては、店舗間の距離が離れているため、一度の買い物ですべてを済ませられる利便性が重宝され、地元では「生鮮食品以外ならカワチ」と言われるほど根付いています。
カワチ薬品の口コミ

社員評価
OpenWorkのデータによると、カワチ薬品の社員による会社評価スコアは5点満点中2.54(回答者139名)となっています。残業時間は月間平均24.1時間、有給休暇消化率は46.0%です。
カテゴリ別の評価では、「法令順守意識」が3.7と最も高く、「待遇面の満足度」が2.9と続きますが、「社員の士気」「風通しの良さ」「20代成長環境」「人材の長期育成」などは2.0〜2.2と低めの評価となっています。
薬剤師からの口コミ
カワチ薬品で働く薬剤師からは、様々な口コミが寄せられています:
良い口コミ
- 「給料は平均的だが住宅手当が大きいため手取りが多い」
- 「法令遵守意識がきちんとしている」
- 「頑張りは評価してもらえる」
- 「時短勤務があり、子育てしやすい」
- 「エリア単位で人事異動を考慮してもらえる」
- 「中途入社5年目で年収650〜700万円くらい(残業代40時間/月込み)」
- 「他のドラッグストアと比べて見劣りするが住宅手当などが出るため自由に使える所得が大きい」
良くない口コミ
- 「残業時間は店舗により差がある」
- 「長期の休みは取りづらい」
- 「転勤なしだと住宅手当がない」
- 「典型的な古い会社。未だに女性の副店長がいない」
- 「実力重視ではなく性別重視。長時間労働に耐えうるガッツのある人が評価される」
カワチ薬品のメリット

給与・待遇面
カワチ薬品には「ナショナル社員」(転居を伴う転勤あり)と「エリア社員」(転居なし、自宅から通勤可能な範囲での勤務)の2つの職種コースがあり、入社後にコース変更も可能です。
新卒薬剤師の想定年収は、ナショナル社員で568万円(月給355,220円)、エリア社員で524万円(月給327,730円)です。特にナショナル社員には月5.5〜6.5万円の住宅手当が支給されるため、年収換算で634万〜646万円となり、手取り額は業界内でも高い水準にあります。
中途採用の場合は、年収470万〜630万円、パート時給は1,800円〜2,500円となっています。職種別の平均年収データによると、薬剤師の平均年収は548万円(範囲420万円〜650万円)となっています。
充実した福利厚生
カワチ薬品は福利厚生が充実しています:
- 年間休日110日
- 各種社会保険完備
- 薬剤師賠償責任保険
- 退職金制度
- 育児時短勤務制度(子が小学校3年生になる4月まで最大2時間短縮可能、30分単位で取得可能)
- 育休取得率:女性94.7%、男性38.8%(2024年6月データ)
カワチ薬品は子育て支援の取り組みが評価され、2008年に「くるみん」認定を受け、2020年にはより高い水準の「プラチナくるみん」認定も獲得しています。
キャリア形成の機会
カワチ薬品では、店舗勤務から始まり、管理薬剤師(薬局長)、副店長・店長へとキャリアアップできます。さらに、本社各部門での勤務、調剤エリアサポート、調剤薬局運営開発業務などのキャリアパスも用意されています。
人手不足のため、特に男性社員は比較的若いうちから昇格できるチャンスがあり、転居を伴う異動が可能であれば入社3年目くらいで副店長になれるケースもあります。
カワチ薬品のデメリット

店舗による環境差
口コミから明らかなように、残業時間や職場環境は店舗によって大きく異なります。特に郊外型の大型店舗が多いカワチ薬品では、エリアや店舗ごとに状況が違うため、転職を考える際には希望する店舗の内部事情をよく調査することが重要です。
長時間労働の傾向
一部の口コミでは「男性社員は残業20〜30時間以上はあたりまえ」「年間残業360時間ギリギリに調整している様子もあり」といった指摘があります。年間休日は増えたものの、スタッフが増えないため男性社員の残業に頼る傾向があるようです。
女性のキャリアアップの難しさ
「未だに女性の副店長がいない」「実力重視ではなく性別重視」といった口コミがあり、女性社員は結婚や出産を機にエリア社員になることが多く、キャリアアップが難しい環境であるという意見もあります。「女性は子供を持つか結婚すると自然とエリア社員になり時短で働く方がほとんど」という状況が指摘されています。
休暇取得の難しさ
「長期休暇もない」「休みたいときに休めなかったり急に呼び出されたりするので、プライベートの予定が入れにくい」といった意見もあります。特に薬剤師や登録販売者といった資格保有者は、法律上の理由から店舗運営に不可欠なため、休暇の取得がしづらい状況があるようです。
カワチ薬品に入社してみてわかったこと

評価制度の不透明さ
入社してみると、評価制度に不透明な部分があることがわかります。
「上司の評価によるが、具体的な数値は知らされない」「フィードバックを受けて改善したとしても昇格や昇給にどの程度影響しているかは不明」という声があります。
基本給は号俸で決まっており、上がり方は上司の評価によりますが、「ほとんどの社員は一定の評価で頭打ちとなり、ある年齢からは昇給は微々たるもの、もしくは全く上がらなくなる」という現実もあるようです。
体力仕事の多さ
特売商品がトラックで搬入されると、倉庫に積む作業は社員が行うため、1時間以上かけて荷受けすることもあります。
夏場は倉庫が40度近くになることもあり、汗だくでの作業を強いられることも。
「思っていたより体力仕事が多かった」という理由で退職を決意した元社員もいます。
人間関係の良さ
一方で、「薬剤師は一人薬剤師や少人数の店舗が多いため、調剤室の人間関係のトラブルが少ない」という特徴もあります。
パワハラなどのハラスメントに関する口コミも見当たらず、比較的働きやすい人間関係が構築されている面もあるようです。
カワチ薬品はこんな人におすすめ

北関東での勤務を希望する人
茨城県や栃木県など北関東エリアで働きたい方には、地域に根差した企業として安定した勤務先となります。
地元企業として長い歴史を持ち、地域住民からの信頼も厚いため、地域密着型の仕事を希望する方に向いています。
住宅手当を重視する人
特にナショナル社員として転居を伴う勤務ができる方には、月5.5〜6.5万円の住宅手当が支給されるため、単身者であれば実質家賃無料で住める可能性もあります。
手取り額を重視する方には大きなメリットとなります。
子育てと仕事の両立を目指す人
育児時短勤務制度が充実しており、子が小学校3年生になる4月まで最大2時間の時短が可能です。
育休取得率も高く、「プラチナくるみん」認定企業として子育て支援に積極的なため、仕事と育児の両立を目指す方におすすめできます。
バリバリ働きたい人
「給料は悪くないので、独身の方や子どもが大きくなり手のかからない方など、バリバリ仕事したい人にはいい」という口コミもあります。
特に体を動かすことが好きな方や体力に自信のある方は、カワチ薬品の業務スタイルに適応しやすいでしょう。
地域の健康をサポートしたい薬剤師
カワチ薬品は「地域密着型の身近な医療専門職として、お客様の健康を丁寧にサポートしたい人に向いている会社」と評されています。
地域住民の健康維持に貢献したい、薬の専門家として地域に根差した活動をしたいという志を持つ薬剤師には、やりがいのある職場となるでしょう。
総合的に見ると、カワチ薬品は北関東地域では安定した雇用と比較的良好な待遇を提供している企業ですが、店舗による環境差や女性のキャリアパスに課題があることも事実です。
転職を検討する際には、配属予定の店舗の状況を詳しく調査し、自分のキャリアプランとの相性を見極めることが重要です。
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